Midnight, the stars and you

 豆粒のように小さいハムスターを飼う。

 豆粒だから、いつのまにかどこかに行ってしまって、しばらく絨毯のうえを探した。そこかしこからキリキリとした鳴き声は聞こえてくるが、姿は見えない。見えているかもしれないが分からない。

 私の部屋には元より二羽のインコがいて、名前をブーバとキキという。どんな名前だったか今では思い出せなくてこの様に呼んでいる。二羽が探すのを手伝ってくれたが、見つけた途端にどちらかがハムスターを食べてしまわないか気が気でなかった。

 ハムスターは絨毯の、エスリミと呼ばれる葦の渦巻く迷路のような紋様の中腹で迷子になっていた。ブーバとキキが啄んでしまってはいけない。急いで指先でつまんで持ち上げようとしたら、パチリと音を立ててハムスターは潰れてしまった。

 血の滴になったハムスターは「コラー!」と叫んだけど、表面張力が心地良いらしくそのまま寝てしまった。滴をエスリミの真ん中にそっとおくと、少しの間かたちを留めたのちジュッと滲んで染みていった。私は安心して、ブーバとキキを撫でた。